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2006年8月21日 (月)

静岡発 おでんや

Dscf1330 昔私が小学生のころ友人の家に行く大きな楽しみがありました。

今のようにテレビゲームがあるわけでもなく、家庭用ビデオさえなかった時代の楽しみ方といえば広場で野球をしたり、体を使った遊びを自分たちで作ったりでありました。

もちろん一番楽しかったのは自分の家以外で一泊することであったとは思いますが。

甲府の市街地にある寺井君の家は材木屋さんで、厳しいお父様はいたものの、それ以上の楽しみが私を待ち受けていた。

それが「駄菓子屋」である。歩いて3分くらいの狭い路地を入ってゆくと昭和の初めから営業しているような駄菓子屋をおばあちゃんが一人で切り盛りしているのだ。

当時はどこにでも駄菓子屋はあったのだがその駄菓子屋が他店と「差別化」した営業をしていたわけで、私たちを引き付けたものが「お好み焼き」であった。

粉を溶いたものと、キャベツと干しえびだけのシンプルなものから豪華なものまで(一番安いものしか食べたことがない)自分で囲炉裏で焼かしてもらえる、これが子供心をくすぐったのだと思うこの店の魅力でありました。

Dscf1328 ラムネの飲み方を教えてくれたのもそこのおばちゃんで、今でも覚えているフレーズに「ラムネの飲み方をおさわりに東京から来るでよ」(そんなわけないないっちゅうの)。

しかしながらその店では社会のルールやら、お金の使い方やら非常に重要なことを知らぬ間におそわったような気がする。

そんな昔ながらの駄菓子屋が静岡にあったのだ。

Dscf1323 おでん街が店開きするまでの時間におでん食べれるところないかの問いかけに駐在さんが懇切丁寧に教えていただいた店がこの「水野商店」で戦前から80年以上の歴史を持つ店だということは一目わかった。

冷房もなく軒先のすだれが室内に暑さを閉じ込めてしまうのではないかと思うくらいの暑い日であった。

「夏におでん」ありえない話かもしれないが80年来の実績と、自信、なんでも最近熱帯のバンコクのコンビにではおでんが一番人気で、売り切れ続出とのこと。

昔懐かしい駄菓子屋のイメージを頭一杯に描きながらこの暖簾をくぐりました。

Dscf1327 「これだ」まさしく我々が捜し求めていた人はこの人なのであった。

むかし寺井君の家の裏店にいたおばちゃんそのものに再会できた。

求めていた店の雰囲気がその狭い空間には残っていた。

店の中はとっても散らかっており、お手拭のように出されていたかわききったタオルはちょっと使う気にはなれない代物であった。

おばちゃん姉妹と娘さん女3人で切り盛りしているらしく、とっても人懐っこく話しかけてくれる。

Dscf1324 店の中心にあるのは当然「おでん鍋」、練炭の細い火によってじっくり煮つめるのがコツだとのことで、80年の歴史のあるおでんだれの色の濃さと、しっかり煮色の付いた「なると」が空腹の視覚にひどく美味そうにしみた。

この店のすごいところは料金である。

これらの串が全て一本45円か55円なのだ。

どうみても現在の物価ではありえない金額である。

Dscf1325 静岡おでんの定番中の定番、がこの日私が一皿目に手にした2品(黒はんぺんと、ナルト)であろう。

黒色に煮しまったこの二本を皿にとって、削り粉と青海苔、カラシをつけて口に運ぶ。

この日ばかりはあせる気を抑えてしっかり一皿目をカメラに収めることができました。

というのも二人のおばちゃんのおしゃべりがなかなか我々の手をおでんの串へと運ばせてくれなかったわけで、店の歴史から、山梨のこと、天気のことから孫の話まで一通り終わったとでやっと「幻の黒はんぺん」へとたどり着けたのであった。

Dscf1329 店の中には「静岡おでんの五箇条」なるものがかけられていたり、10年前に改築した店は意味のないカウンターが作られていたり、ところてんやら、串揚げやら手書きの汚い字で書かれたメニューが鎮座したりしており、水野流のルールを感じさせてくれた。

そんなメニューの中で私の「懐かしさ」の感覚を強くゆすった一品があった。

記憶の中では30年近く口にしていなかったはずの「幻」がその中にあったのだ。

Dscf1326 「ガラナ」である。

昔父とよく一緒に行ったとんかつやさん「みむら」でしか目にしたことにないこの飲み物は「大人の飲み物」ということで一人1本以上は飲ませてもらえなかった。

コーラとドクターペッパーを混ぜて炭酸弱めにして、甘くしたようなそんなガラナは量が若干少ないから「もう一本」飲みたくなるのだが、1本ルールが我が家にはあった。

その幻であり、憧れであったガラナを目にしたとき自分の目を疑ったくらいであった。しかも100円(瓶代別)と書かれている。今思えば瓶だけ持ち帰ればよかったくらいの感激だった。

よく冷えて昔と全く同じ味の大人の飲み物ガラナをよく味わいながら二口で飲み干した。

おばちゃん曰く最近入りだしたんですよ。なかなかないみたいでね。

1本ルールに従い2本目はあえて注文しなかった。

このあとおばちゃんが注いでくれるお茶を飲みながらおでんを数本食って会計したわけだが、予想はしていたものの3人で1250円「安い」これだけの満足と、至福の時間を1250円じゃ買えないだろうと、1300円で「おつりはいいですよ」。

するとおばちゃんたちは恐縮の嵐、結局お釣り以上のポテトチップのお土産をいただいて店を後にした。

一番上の写真にあるとおりおばちゃん二人は我々を店の外までお見送りしてくれた。

「恐るべき水野商店」商売の原点見たり。

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